解説

ランナーに必要なタンパク質摂取量:体重・練習量別の考え方

ランナーのタンパク質摂取量を、体重と週間走行距離から計算する考え方を解説。60kgの早見表、1回量、食事への配分、注意点が分かります。

ランナーが体重と練習量からタンパク質摂取量を計算する食事記録
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目次
  1. ランナーのタンパク質摂取量を決める基準
  2. 体重と練習量からタンパク質を計算する
  3. タンパク質を一日に配分する
  4. 食品とサプリメントでタンパク質を満たす
  5. タンパク質を増やす前に確認する注意点
  6. 三つの判断ルール
  7. 出典

ランナー タンパク質(楽天 / Amazon / Yahoo!) 摂取量は、タンパク質を一律に何gと決めず、体重1kg当たり1.4〜2.0g/日を運動習慣のある人の幅として、週間走行距離、練習強度、総エネルギーの充足度から選ぶのが基本です。通常の市民ランナーは幅の低〜中域から始め、ロング走や高強度練習が重なる週は食事記録と回復状態を見て上側を検討します。

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ランニングの栄養は、タンパク質だけを増やす競争ではありません。日常食と走る前後の全体像はランナーのための栄養学で確認し、本記事では「一日の量をどう決め、どう分けるか」に絞ります。練習直後の一杯だけでなく、朝食、昼食、夕食、補食、休養日まで一続きの計画として考えてください。

ランナーのタンパク質摂取量を決める基準

タンパク質の基準は、一日の総量から決めます。必須アミノ酸は体内で必要量を作れず食事から摂る9種類のアミノ酸(楽天 / Amazon / Yahoo!)で、運動後の組織再構築に使われます。アメリカスポーツ医学会に関連する競技栄養研究も、健康と競技力を切り離さず総摂取量を扱っています。

スポーツ栄養では、「一般成人の推奨量」と「運動習慣に応じた体重比」を同じ数字として扱いません。森永製菓が紹介する日本人の食事摂取基準2020年版では、男性15〜64歳は65g/日、女性18歳以上は50g/日です。一方、ISSNのポジションスタンドは、運動習慣のある人の一日量として1.4〜2.0g/kg/日を示しています。

「1日に必要なタンパク質の摂取量は、体重と直前の運動量によって変わってきます。」と魚肉ペプチドLabは説明しています。この一文が示す通り、係数は肩書きではなく負荷から選びます。週に数回の軽いジョグと、持久力トレーニングを軸にポイント練習と距離走を重ねる週では、同じ体重でも回復需要が違います。

有酸素運動を長時間続ける週は、通常の短いジョグ週より回復需要が大きくなります。近年の持久系研究は、上側を選ぶ場面を考える材料になります。トロント大学の研究では、男性8人と黄体期の女性7人が、1.4g/kg/日の管理食を2日間摂り、男性は10km、女性は5kmを各日走った後、20km走とIAAO法(指標アミノ酸の酸化量から必要量を推定する方法)を行いました。推奨量の推定は男性1.81g/kg/日、女性1.89g/kg/日で、運動後回復期の全身タンパク質合成を最大化する目安は1.85g/kg/日でした。

ただし、これは15人を対象に女性は黄体期だけを調べた研究です。「持久系選手は通常1.85g/kg/日が唯一の正解」「女性は常に男性より多く必要」とは読めません。Daniel Mooreは「持久系選手は一般にトレーニング負荷が非常に高く、身体へのストレスが増えます」と述べています(原文英語)。研究条件に近い高負荷週の参考値として使い、普段の短いジョグ週へ機械的に当てはめないことが大切です。

判断の順序は次の通りです。

flowchart TD
  A[持病や食事制限がある] -->|はい| B[医師・管理栄養士へ相談]
  A -->|いいえ| C[総エネルギーと炭水化物を確認]
  C --> D{練習負荷は高いか}
  D -->|通常週| E[低〜中域から開始]
  D -->|高負荷週| F[中〜上域を検討]
  E --> G[食事・疲労・体重を記録]
  F --> G

図1:持病、食事全体、練習負荷の順にタンパク質の係数帯を選ぶ流れです。

体重と練習量からタンパク質を計算する

タンパク質の計算では、エネルギー収支を確認してから、トレーニング負荷に合う係数を体重へ掛けます。負荷は一回の距離だけでなく、週間走行距離運動強度、頻度、次の練習までの間隔をまとめて捉えます。

体重60kgの例は、RunDidaの表を使うと次のようになります。

練習状況係数の目安体重60kgの一日量
週30km未満1.2〜1.4g/kg72〜84g
週30〜60km1.4〜1.6g/kg84〜96g
週60km以上・マラソン練習期1.6〜1.8g/kg96〜108g
減量中の加算例+0.4g/kg+24g

この表の1.2〜1.4g/kgは軽い週の下限を考える材料で、ISSNの1.4〜2.0g/kg/日は運動習慣のある人全体の幅です。体重70kgで軽めの筋力運動をした計算例では、1.2〜1.4g/kgを掛けて84〜98g/日になります。係数の出典と対象が異なるため、数字を混ぜて「必ずこの量」と断定しないでください。

週30km未満でも、高強度インターバルトレーニングレジスタンストレーニングを同じ日に入れるなら、距離だけでは負荷を過小評価します。反対に、距離が多くても低強度中心で食事と睡眠が安定し、疲労が残らないなら、最初から2.0g/kg/日へ固定する理由はありません。

マラソントレーニングロング走が入る日は、距離だけでタンパク質を上げる前に、主食を含む総摂取量を確認します。運動量が増えたのに食事量が据え置きなら、タンパク質係数の問題よりカロリー不足が先にあります。意図的な減量中も同様で、体重の減少速度、練習の質、空腹、睡眠、疲労を同時に記録します。

休養日をゼロに戻す考え方も適切ではありません。強い運動をしない日でも、前日の刺激から組織を再構築する運動後の回復は続きます。トレーニングのピリオダイゼーションでは高負荷日と回復日を一週間の中へ配置します。練習日だけ上げて休養日に一般量を下回るより、一週間の平均と食事の安定を優先してください。

タンパク質を一日に配分する

タンパク質の配分では、アミノ酸から筋肉のタンパク質を新しく組み立てる筋タンパク質合成栄養摂取タイミング、運動後の回復を一日の流れで考えます。ISSNの一般的な1回量は高品質タンパク質0.25g/kg、または20〜40gで、3〜4時間おきの均等配分が示されています。

ISSNは「これらのタンパク質量は、理想的には一日を通じて3〜4時間おきに均等に配分します」としています(原文英語)。運動の同化作用は少なくとも24時間続きますが、運動後の経過時間とともに弱まる可能性があります。直後だけに集中させず、次の食事へつなげる理由がここにあります。

体重60kgで84〜96g/日を狙う日の配分例です。

時点食事の役割配分例
朝食夜間の空白を終える20g
昼食午後の活動と練習前の土台25g
運動後の補食夕食まで空く場合の橋渡し15〜20g
夕食一日の不足を調整25〜30g

「毎食均等にタンパク質を摂ることが大切」と魚肉ペプチドLabは説明し、夕食へ集中させるより3食20gずつの例を示しています。配分表は厳密な時刻表ではありません。練習後2時間以内に普通の食事を取れるなら、補食を足して過剰にするより、その食事を回復食として使えます。

1回量の質では、ロイシン700〜3000mgと、バランスの取れた必須アミノ酸がISSNのポジションスタンドに示されています。ロイシン、イソロイシン、バリンからなる分岐鎖アミノ酸(BCAA)だけに絞るより、全必須アミノ酸を含む食事性タンパク質を先に確認します。BCAAとEAAの選択はBCAAとEAAの違いで分けて考えられます。

朝食を抜く人は、夕食の一回量を増やしても配分の空白が残ります。森永製菓は、アミノ酸20種類のうち9種類を食事から摂る必要があると説明しています。卵、乳製品、大豆製品、魚、肉などを朝食へ一品足す方が、夜だけ大盛りにするより実行しやすい場合があります。

食品とサプリメントでタンパク質を満たす

タンパク質は、食事性たんぱく質を基本にし、プロテインサプリメントは不足分を埋める道具として使います。日本スポーツ振興センターのスポーツ栄養資料も、単一の補助食品ではなく日常の食事を土台に置いています。

バランスの取れた食事では、主食、主菜、副菜、乳製品、果物を組み合わせます。タンパク質源は魚、肉、卵、大豆製品、乳製品へ分散すると、一つの食品へ依存しにくくなります。魚肉ペプチドLabの食品100g当たりの例では、カツオ25.0g、皮なし鶏むね肉24.4g、サケ22.3g、木綿豆腐6.6g、牛乳3.3gです。

粉末を使うかどうかは、食品の優劣ではなく生活上の不足で決めます。朝食が小さい、練習後から夕食まで長い、外出先で主菜を用意できない場合は、ホエイプロテインソイプロテインが量を管理しやすい選択肢になります。食事だけで総量と配分を満たせるなら必須ではありません。

市販品を選ぶ段階では、1回当たりのタンパク質量、原材料、飲みやすさ、胃腸との相性を確認します。長距離向けの製品選びはホエイ・ソイの選び方に分け、本記事の計算で見つけた不足量を持って比較すると、製品から先に量を決めずに済みます。

タンパク質を増やす前に確認する注意点

タンパク質を増やす前に、炭水化物グリコーゲンスポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)を確認します。持久運動の主燃料を削り、総エネルギー不足を残したままタンパク質だけを増やすと、回復計画の優先順位が逆転します。

ISSNが紹介した7日間の自転車競技者への介入では、高タンパク・中炭水化物食は3.3g/kg/日のタンパク質と5.9g/kg/日の炭水化物、比較食は1.3g/kg/日のタンパク質と7.9g/kg/日の炭水化物でした。高タンパク側ではセルフペースのタイムトライアル完了時間が20%長くなりました。これは「タンパク質が悪い」のではなく、持久系で炭水化物を削る置換が不利になり得る例です。

長時間走を空腹時運動や低炭水化物状態で行うと、タンパク質がエネルギーへ回り、カタボリックと呼ばれる分解側の反応を考える必要が出ます。note記事は、糖質不足時の長時間練習で約10〜20gを運動中に摂る案を紹介していますが、通常の市民ランナーが主食不足を補わずに常用するルールではありません。

水分補給も切り離せません。粉末飲料を濃く作る、走る直前に一気に飲む、主食を減らして乳製品やシェイクだけを増やすと、運動時の胃腸トラブルが起きる人もいます。長時間・高強度で腹痛や下痢が繰り返される場合は、運動誘発性胃腸症候群を含む原因を自己判断せず、摂取量と時刻、症状を記録して相談してください。走行中の給水設計はランニング中の水分補給方法で確認できます。

筋肉が大きくない持久系選手にもタンパク質は必要です。遅筋線維を使う競技でも、運動で使われたタンパク質の補充と適応が続きます。ただし、体重を軽くしたいからとタンパク質と主食を同時に削れば、疲労、体重の意図しない減少、練習の質低下につながります。

持病がある人は一般式をそのまま使いません。腎疾患などでタンパク質制限を受けている、体重減少が続く、月経異常、強い疲労、検査値の異常がある場合は、医師や管理栄養士の指示を優先します。息切れや記録低下が続き鉄不足も疑うなら、ランナーの貧血改善方法の受診手順へ進んでください。

三つの判断ルール

タンパク質の摂取量で迷ったら、三つに絞ります。

  1. 一日量を幅から選ぶ:体重1kg当たり1.4〜2.0g/日を参考に、通常週は低〜中域、高負荷週は中〜上域を検討します。唯一の固定値にはしません。
  2. 一日に分ける:1回0.25g/kgまたは20〜40gを配分の目安にし、3〜4時間おきに食事と補食へ置きます。運動直後だけで一日分を満たそうとしません。
  3. 主燃料と健康を先に守る:炭水化物、総エネルギー、水分を削ってまで増やさず、食事制限や持病、回復不良があれば専門家へ相談します。

この三つを3日分の食事記録へ当てはめれば、足りないのが「一日の総量」「朝食」「運動後から夕食までの空白」のどこかを見つけやすくなります。量が足りているのに回復しない場合は、タンパク質をさらに足す前に、睡眠、練習負荷、エネルギー不足、体調を見直してください。

出典