手順

マラソンのペース配分方法:完走タイム別の組み立て方

マラソンのペース配分方法を、サブ3〜6時間の平均ペース、目標設定、スタート・給水ロス、前半・中盤・30km以降の判断まで手順で解説します。

マラソンのペース配分を確認しながら走るランナー
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目次
  1. マラソンのペース配分は平均ペースを基準にする
  2. 完走タイム別のペース早見表
  3. 手順
  4. 3種類のペース戦略をどう選ぶか
  5. 前半・中盤・終盤の走り方
  6. 当日にペース配分を補正する方法
  7. ペース配分でよくある失敗と修正
  8. レース前に決める最終チェック
  9. 出典

マラソンのペース配分は平均ペースを基準にする

フルマラソンは42.195kmです。まず予想完走タイムを総分へ直し、42.195で割れば1kmの平均ペースが出ます。ただし、これはコース全体を均等に走った計算値であり、当日の命令値ではありません。

ミズノの公式解説は、成功の鍵を「自身の走力に合ったペースを理解し、42.195kmを通して維持する」と表現しています。編集部が複数ソースを見比べても、後半の加速より序盤の抑制を重視する点は共通しています。

完走タイム別のペース早見表

目標別の基準は次の通りです。5km欄はミズノ公式の表に掲載された通過値で、サブ5だけは元表の1km値と5km値が整合しないため、誤記を広げず再計算扱いとしました。

目標1km平均5km基準
サブ34分15秒21分15秒
サブ3.54分58秒24分50秒
サブ45分41秒28分25秒
サブ4.56分23秒31分55秒
サブ57分06秒再計算して設定
6時間8分31秒42分35秒

この表は「出したいタイム」ではなく、最近の練習で再現できるタイムから選びます。サブ4の5分41秒/kmやサブ5の7分06秒/kmが序盤から努力を要するなら、目標を下げる方が後半まで走りの効率を保ちやすくなります。

手順

マラソンのペース配分は、次の5ステップで組み立てます。

ステップ1: 目標をA・B・Cの3段階にする

Aは好条件で狙う目標、Bは現実的な中心、Cは完走優先です。願望だけで決めず、マラソントレーニング中のロング走で維持できた負荷をBへ置きます。失敗はAだけを持つこと。修正は、天候や体調が悪ければB、序盤から余裕がなければCへ切り替える条件を先に書くことです。

ステップ2: グロスかネットかを決める

グロスタイムは号砲から、ネットタイムはスタートライン通過から計ります。大会の記録や目標がどちらか確認し、スタート待ちを走行ペースへ混ぜないでください。失敗は、号砲後の遅れを最初の数kmで全回収すること。修正は、ネット基準で走りを管理し、グロス目標なら待ち時間を別に見積もることです。

ステップ3: 走行時間と停止ロスを分ける

給水、トイレ、混雑の時間を平均ペースへ一律に上乗せすると、平地で飛ばし過ぎます。停止ロスは別枠にし、走行中はB目標の範囲を守ります。関門閉鎖時刻が厳しい大会だけは、各関門の余裕も表へ加えます。

ステップ4: 1kmではなく5kmの許容幅を作る

Runna Supportは「目標ペースの前後3〜4秒の範囲でペースを設定することをお勧めします」と案内しています。GPSランニングウォッチの瞬間ペースではなく、5km単位で上限・中心・下限を見ます。

ステップ5: 練習で判断ルールを試す

大会前に、補給、ウォッチ表示、A/B/Cの切り替えを練習します。カーボローディングエネルギージェルだけで無理な設定は救えません。失敗は本番だけ新しい表示や補給を使うこと。修正は、ロング走で同じ手順を一度通すことです。

flowchart TD
  A[目標A・B・Cを決める] --> B[グロスかネットか確認]
  B --> C[停止ロスを別枠にする]
  C --> D[5kmの許容幅を作る]
  D --> E[練習で再現する]
  E --> F{当日の余裕はあるか}
  F -->|ある| G[Bを維持し終盤に判断]
  F -->|ない| H[Cへ切り替える]

図1:平均ペースを当日の実行ルールへ変える5段階の流れ。

3種類のペース戦略をどう選ぶか

マラソンのペース配分は、イーブン、ネガティブ、ポジティブの3型で整理できます。初心者はイーブン基調で入り、後半に余裕が残れば結果としてネガティブになる設計が扱いやすいでしょう。

戦略前後半向く条件主な失敗
イーブンおおむね同じ走力を把握し、完走を優先坂でも時計だけ合わせる
ネガティブ後半が速い序盤を抑え、30km以降に余裕後半加速を義務にする
ポジティブ後半が遅い意図せず起きる場合が多い前半の「貯金」を使い切る

セイコーの増田明美氏の解説も「市民ランナーの方は一定のペースで走るイーブンペースがおすすめですね」としています。Frontiers Media掲載のレビューは、速い入りがグリコーゲン利用を早める仕組みを論じています。炭水化物補給があっても、前半の過大な運動強度を帳消しにはできません。

ただし、ネガティブスプリットを「正解」と固定するのも危険です。後半に上げられなくても、B目標を維持できれば成功です。観察データの関連を、全員への因果的な処方へ読み替えないでください。

前半・中盤・終盤の走り方

前半0〜21kmは、SOLERAの提案例では平均より10〜15秒/km遅く入り、中盤21〜30kmで平均へ合わせます。これは一案であり、グロス目標や関門に合わなければ固定採用しません。

区間判断には自覚的運動強度心拍数を併用します。暑い日や長時間走では、同じ速度でも心拍が徐々に上がる心拍ドリフトが起こり得ます。心拍ゾーンを絶対値にせず、呼吸、脚の張り、給水の受け付け方も見ます。

30km以降は加速できれば上げ、できなければ維持します。2015〜2017年ボストンマラソン完走者78,912人のPLOS ONE分析では、イーブン47.9%、軽いポジティブ31.9%、強いポジティブ12.2%、変動型8.0%でした。イーブン型と強いポジティブ型の平均完走時間は217分対276分、変動型で最終区間20%超の低下を示す割合は85.4%でした。ただし、これは観察研究です。

当日にペース配分を補正する方法

大規模大会ではスタートブロックウェーブスタートにより、序盤の流れが計画と異なります。最初の混雑はウォームアップの延長と考え、追い越しを繰り返して取り返しません。

給水所では手前から流れを見て、急停止を避けます。水分補給で生じた数秒を次の1kmだけで回収せず、5km幅へ戻します。坂、向かい風、暑さでも同じで、速度ではなく努力度をそろえます。周囲への走行マナーを守ることも、不要な進路変更を減らすペース管理の一部です。

ペース配分でよくある失敗と修正

最大の失敗は、序盤の余裕を「速く走れる証拠」と誤解することです。前半の貯金が30kmの壁を補うとは限りません。5km通過が上限より速ければ、次の1kmで急減速せず、数kmかけて中心へ戻します。

また、時計を見てケイデンスストライドを急に変えると、ランニングフォームまで乱れます。瞬間値を追わず、呼吸と5km区間で修正してください。補給を忘れた場合も、次回に倍量を詰め込まず、事前の計画へ戻します。

レース前に決める最終チェック

  • A・B・Cの目標と、切り替える条件を書いたか
  • グロス/ネットとスタートロスを分けたか
  • 1km平均と5kmの許容幅を用意したか
  • 前半0〜21km、中盤21〜30km、30km以降の判断を決めたか
  • 加速を中止して「維持を成功」とする条件を決めたか

ペース表を作ったら、ロング走で配分を再現し、完走準備全体はフルマラソン完走ガイドで確認してください。

出典