用語集
乳酸
解糖系でピルビン酸から生成され、運動中に組織間で運ばれて酸化や糖新生に再利用される代謝物。
別名: L-乳酸・ラクテート・lactate・乳酸イオン
Definition
乳酸(lactate)は、細胞質の解糖系でブドウ糖から生じたピルビン酸が、乳酸脱水素酵素の働きで変換されてできる代謝物です。激しい運動時だけでなく有酸素条件でも継続的に作られ、血液や細胞間を移動して筋肉、心臓、脳などでエネルギー基質として利用されます。
生成と輸送
- 生成:解糖が進むと、ピルビン酸から乳酸への変換によってNAD+が再生され、ATPを得る反応を続けやすくします。
- 輸送:乳酸は細胞内に留まらず、モノカルボン酸トランスポーターを介して産生部位から利用部位へ移動します。
- 酸化:利用側の組織では再びピルビン酸へ変換され、ミトコンドリアで酸化されます。
- 糖新生:一部は肝臓などでグルコースへ戻され、全身のエネルギー循環に組み込まれます。
ランニングでの意味
走る速度が上がると糖質利用と乳酸産生が増えますが、血中濃度は「作られた量」だけでは決まりません。産生、輸送、酸化、糖新生による除去の差し引きで変わります。そのため、血中乳酸濃度は運動強度や代謝状態を読む指標にはなっても、乳酸そのものが疲労の単独原因であることを意味しません。
よくある誤解
- 誤解:乳酸は筋肉を止める老廃物 → 乳酸は解糖系と有酸素系をつなぎ、別の組織で再利用される代謝物です。
- 誤解:翌日の筋肉痛は乳酸が残ったため → 運動中の乳酸変化と、時間をおいて現れる遅発性筋肉痛は同じ現象ではありません。
- 誤解:血中乳酸が高いほど疲労が強い → 血中値は産生と除去のバランスを示す間接指標であり、疲労は運動強度や持続時間に応じた複数の仕組みで生じます。